

INTERVIEW
介護の現場と向き合い
イノベーションを創出する
NANAMI
OBA
大場 奈菜未
新規事業開発
外国語学部 スペイン語学科 卒業
[拠点:浜松本社]
車いす利用者にやさしいクルマをはじめ、福祉車両も手掛けてきたスズキ。私たちは、次なるステージとして介護施設が抱える課題の解決に挑戦しています。
このプロジェクトが始まった当初、主なアプローチ方法は職員の方々へのヒアリングが中心でした。ですが、異業種である私たちが、本当に必要とされるソリューションを提案できるようになるためには、現場への理解と共感を深めなければいけないと感じていました。そこで、一部の実務に携われるように社内外の調整を行い、今は介護現場のリアルな実態を肌で感じながら、新しいソリューションづくりに取り組んでいます。
世の中にまだない商品・サービスを形づくる過程では、一筋縄にいかない焦りも感じます。ですが、現場主義を貫くことでしか分からない、当事者の課題にも触れることができました。現場と共に歩み、社会課題の解決を目指す私たちの挑戦について、お話ししたいと思います。
PROFILE
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2019
4月 スズキ入社。四輪の商品企画部に配属。
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2020
2月 コネクテッドセンターへ異動。浜松テレワークパーク構想に従事する。
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2021
7月 他社が主導する福祉分野のプロジェクトに参加し、事業化のサポートを担当する。
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2022
9月 介護施設の課題解決プロジェクトの開始に伴い、メンバーとしてフィールドワークに従事する。
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現場に飛び込むから見える、介護現場のリアルな課題
現在の私のミッションは、介護の現場が抱える課題を深く理解し、その解決につながるような新しいサービスを創出することです。一見すると異色の取り組みに見えるかもしれませんが、実は、スズキは福祉車両も製造しています。1996年12月、車いすでも乗降しやすいよう改良したワゴンRを販売開始。以来、福祉や介護の業界とも結びつきが深いのです。そんな私たちが次世代モビリティサービスを通じて社会に貢献できることを考える上で、介護の現場を知ることは欠かせません。今、私たちのチームは、全国の介護施設を訪問し、職員の方々と時間を共にしながら現場の困りごとに向き合っています。
私たちの活動で特徴的なのは、メンバー自ら介護の実務に取り組んでいることだと思います。当初は職員の方々へのヒアリングから始めたのですが、だんだんと「現場に飛び込まなければ分からない課題がある」と感じるように……。というのも、どんなに現場に役立つと思える商品・サービスを考案しても、私たちが異業種である以上、説得力が欠けてしまうと感じていたからです。そこで、社内外に働きかけ、実務を手伝えるように調整を行い、私も実際に利用者さんの日常生活をサポートする介助業務を経験しました。
そのようにして関係者皆さんへの共感が深まる中で、見えてきたことはたくさんあります。たとえば、施設内の移動距離の長さによって職員の方々や利用者さんに移動の負担がかかっていること。それから、介護記録や備品のメンテナンスといった間接業務にも労力がかかっていることなどを学びました。やはり、現場を共にするからこそ気付けることがありますし、何より職員の皆さんが気持ちを打ち明けてくださる場面も増えたと実感しています。
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多様な経験で培われた自分らしいキャリアの形
外国語学部で学んだ知識を活かし、海外と関わる仕事がしたいと取り組んだ就職活動。苦戦が続いていたのですが、実務職でやっと内定をもらえたのがスズキでした。入社後は配属先での仕事にやりがいを見出していきました。たとえば、日本最大規模のカスタムカーの展示会「東京オートサロン」への出展企画を担当。その年にあわせた出展コンセプトの企画や、四輪や二輪、マリンなどの事業部の担当者と一緒に、出展するコンセプトカーの製作に携わりました。自動車メーカーならではの発想と機種に対する強い想いで製作されるコンセプトカーはどれも個性的で、コンセプトカーに合わせて展示方法を工夫するなど、貴重な経験となりました。
その後、オートサロン関連の業務がコネクテッドセンターに移管されることに伴い、私も異動を希望しました。その頃、ニューノーマルな働き方の普及を目指す「浜松テレワークパーク構想」の実証実験が開始し、そちらの担当へ。テレワークができるように車内を改装した「オフィスカー」の製作や、テレワークパークやオフィスカーを試運用する実証事業を行いました。
2021年7月からは、他社が主導する福祉分野のプロジェクトに従事。サービスインを目標とした実証実験のタイミングから参画したため、現場はいつも真剣そのもの。自分がやるべきことを必死に見つけて調整に動く中で、自ら考え、行動する重要性を学ぶことができました。
そうした経験を通じて2022年9月からは、現在の介護施設向け課題解決プロジェクトを開始しました。上司や先輩方のお力添えもあり、職種も総合職へと転向。多い時には週5日、以前にも増して現場の困りごとに飛び回る日々を過ごしています。
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広い視野を持ち、本質的な価値創造を
お客様の役に立つ商品やサービスは机上の空論からは生まれない。スズキでは「現場・現物・現実」と向き合う三現主義が推奨されます。たしかに異業種である私たちが、介護の課題解決に貢献したいと思うなら、やはり現場に立ちつづけ、必要とされているものごとを肌身に掴むことが重要だと思います。
コネクテッドセンターでは、モビリティの枠にとらわれず、お客様の抱える根本的な課題にアプローチすることを大切にしています。サービス化につなげるまでにはたくさんのハードルがあり、手探りの日々に焦りを感じることもあります。ですが、高齢化が進む日本において、介護は重要なテーマの一つです。現場での気付きを起点とするソリューションを世に送りだす日を目標に、これからも介護施設の課題に向き合い、誰もが豊かに暮らせる社会の実現を目指します。
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事業成長にあわせて進化する働き方
事業の成長に合わせて、スズキという会社もどんどん進化していると思います。たとえば働き方が、業務に合った柔軟な方法を選択できるようになりました。フレックスタイムや在宅ワークを利用することで、通勤ラッシュを避けることができますし、出張も組みやすいと感じます。そうした自由度の高い働き方のおかげもあり、今日もお客様先や協業先の現場に寄り添うことができています。
※部署名、内容はインタビュー当時のものです。