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INTERVIEW

クルマの運転データを解析し、
人々のウェルビーイングを叶える

NAOKI
KAMIYA

神谷 直輝

サービス企画

リサーチャー・データアナリティスト

情報学部 情報科学科 卒業

[拠点:浜松本社]

昔から、人々が幸せに生きられる社会づくりに興味がありました。高専でロボティクスやシステム制御を学ぶ中で、人に寄り添う自動化への探求心が向上。大学では、IT・AI技術と人間科学の融合した情報科学科へ進学しました。

研究室では認知症というテーマに向き合い、卒業後も学術研究員として介護や医療の現場の皆さんとともに研究開発を行いました。アカデミアの世界を離れる決断をしたのは、研究成果を社会実装するためにビジネスを学ぶ必要性を痛感したから。スズキに転職後は、日常の運転行動と人の認知機能との関係性を明らかにするプロジェクトに参画しています。

運転データから認知機能の低下を早期に発見し、健康寿命の延伸に貢献する。そして、高齢になってもその人が幸せに過ごせる“居場所”へのアクセスを容易にしたい。コネクテッドセンターで実現しつつある、私のミッションについてお話します。

PROFILE
  • 2021

    10月 スズキ入社。コネクテッドセンターに配属。

    日常の運転データから認知機能低下の予兆を早期に捉える技術を開発するため、大学との共同研究を担当。
    浜松市と浜松医科大学との共同で実証事業を進める。

  • 認知機能の低下に影響を及ぼす運転行動上の特徴を見つける

    日常の運転データから認知機能の低下につながる因子を見つけ、認知症の早期治療や予防に活かす。今、私がリサーチを担当している「『日常の運転』と『認知機能』の相関関係検証プロジェクト(以下、本プロジェクト)」では、人々ができるだけ長く安全に運転できる未来の実現を目指しています。

    私が本プロジェクトに参画したのは、スズキに転職してきた2021年10月のこと。たった2人のチームで、60〜75歳の生活者200名分の運転データを集める必要がありました。実証実験に協力してくれる方を募集するため、チラシを作り説明会を開いて……データを集めきるまで3年はかかる見通しだったところ、実際には1年半という短期間で実施できました。

    これは、浜松市や浜松医科大学と共同で研究を進めていることに加え、地元の浜松に基盤を持つスズキだからこそのスピード感だったと思います。あらゆるタスクをこなす苦労はありましたが、現場で聴いた生活者のリアルな声は、これから先のサービス化を検討するにあたり欠かせないものとなりました。高齢ドライバーの多くが、いつ運転できなくなるか分からない不安を抱えています。自動車メーカーの私たちが取り組む意義を、現場から学ぶことができました。

    現在は、いよいよデータを解析し研究結果を取りまとめるフェーズに入りました。本プロジェクトで何らかの相関性を証明できれば、認知症の予防だけでなく、幅広い産業の課題解決に貢献できることを確信しています。

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  • 人が幸せに生きられる「知」のあり方を探求したい

    高専でロボティクスを学び、次は人の「知」について勉強したいという気持ちから、大学では情報科学を専攻しました。研究テーマに選んだのは、認知症。それは、祖母が認知症になり、介護の大変さを知っていたためです。

    大学院を卒業後はそのまま大学の学術研究員へ。約4年間、認知症にまつわる基礎研究に携わりました。在宅介護時に展開されるコミュニケーションの可視化をはじめ、介護の初任者と熟練者のケアスキルの分析、介護従事者向けの研修プログラムの構築など、研究の一連の流れを担当。介護施設や病院の課題解決につながる仕組みを作ることができました。

    しかし、そこからどんなサービス形態にすればいいのか、価格はいくらが適正なのか勘が働きません。社会に実装するためにはビジネスの知見が必要だと痛感し、民間企業への転身を決断しました。

    これまでのキャリアを丸ごと活かせる医療ベンチャーの道もありましたが、異業種に振り切った方が、新たな可能性が見つかるかもしれない。そう考えていた折に、地元企業のスズキがリサーチャーを求めていると知りました。人々の豊かな暮らしに資するスズキの考えに触れ、人々のウェルビーイングに貢献したいという私自身のミッションも呼び起こされた気がします。面接での「あなたのやりたいことが活かせる場所だ」というひと言が決め手となりました。

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  • その人が幸せを感じられる居場所へアクセスできる権利を

    足腰が弱くなるとともに外出の機会が減り、認知症が進行した祖母は家族の名前すら思い出せない状態になりました。自力で歩けなくなることが心配で迷っていたのですが、思いきって車いすを使うことに。すると、気軽に出かけられるようになり、逆に散歩の頻度が増えました。

    祖母の手を取り、花壇の近くまで一緒に歩き「キレイだね」とポジティブな言葉を投げかけてみる。すると、祖母に笑顔が戻ります。そんな体験から「大好きな花を誰かと楽しみ、幸せを感じる力は残っている。人には本来その人が幸せを感じられる居場所があって、そこにアクセスできることが重要なのではないか」と小さな仮説を持つようになりました。

    モビリティはまさに、その人が幸せになれる居場所へといざなってくれる手段です。思えば、私がロボティクスを勉強したのも、人の幸せに貢献する技術に興味があったから。大学で情報科学を学んだのは、「知」の側面から人の幸せな生き方を模索したかったからです。今の仕事と出会い、私は自分が真にやるべきことを見つけられた気がします。

    本プロジェクトの成果を取りまとめ、いずれは人々のウェルビーイングを叶えるモビリティサービスの開発や応用研究などにも挑戦できたらと思っています。

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  • メンバーの働きやすさも考慮してくれる環境

    人間づくり”にも力を入れているスズキでは近年、1人ひとりが自律的に働ける環境・制度の整備が進んでいます。とくにリモートワークとフレックスタイム制の働き方にはとても助かっていますね。

    というのも最近、2人目の子どもが生まれたばかりで妻は静養中。子どもが急に発熱してしまい、病院に連れていくこともあります。家事を手伝い、家族との時間も大切にしながら、仕事の働きがいも得られているのは、今の働き方があってこそです。

    ※部署名、内容はインタビュー当時のものです。